最大のライバル出現

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とりあえず、詩織さんは叔父さんと話をしてるのを見てホッとする。 今のところ詩織さんと話す機会がないと分かると、生ビールを飲みながらこのテーブルの人間観察を始めた。   ママである詩織さんはともかく、お店のナンバーワンである薫さんがヘルプをしてるって事は。   もしかして、美咲の叔父さんって超VIP客だったりする? 見る限りだと、後からお店に来たお客さん全員、薫さんや詩織さんを指名してもこのテーブルを見て瞬時に諦めてるような……。 確かヘルプって、指名客がいないホステスさんが、指名客を持っているホステスさんのテーブルについてお酒を作ったりするんだよね?   テレビの受け売りだから詳しくは分からないけど、この席では薫さんがそれをやってるんだよね。 きっと叔父さんの影響なんだと思うけど、美咲だって嫌だと言ってた割にこの雰囲気に十分馴染んでるし。 その証拠に、美咲は普通に詩織さんや薫さんと話してる。 一方の由希はというと。 初めてのクラブ体験に興奮してるのか、 詩織さんと薫さんにいろいろ質問をしていた。 確かに。 私達にとって、この仕事は未知の世界だもんね。 こういう機会じゃないと、知る事なんてほぼないだろうし。   由希が全部質問してくれてるおかげで、私は何も喋らなくて済んだ。 この仕事に興味がないと言えば嘘になるけど、詩織さんとあまり関わりたくないのが本音だったりするんだけどね。 私が知りたいのはたった1つだけ。 彼と詩織さんの関係……。 それだけだった。 きっと知ってしまったら、絶対にヘコむのは分かっているのに……。   詩織さんが彼と何処で知り合ったのか。 彼のどんな所に惹かれたのか。   そんな事ばかり。 頭に浮かんでは、詩織さんに嫉妬している自分がいて不安になってしまう。   私は馬鹿な女だ。 自分だって彼のセフレの1人なのに。 こんな綺麗な人に嫉妬するなんて……。   由希の質問で、詩織さんが20歳からこの世界に入った事を知った。   それに夜の世界で生きてく上で、初めからキャバクラではなくて、銀座のクラブに拘(こだわ)っていたという事も。   日本一の大人の歓楽街・銀座。 この場所には政財界や著名人も足を運んだりしていて、様々な知識が身に付くらしい。 銀座で働いて店を出す事を目標にしているホステスも多いみたいで、詩織さんもその1人だったんだって。
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