逃げ道

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ここ2ヶ月。 こんな具合で過ごしてたら、気付くと4月も中旬を過ぎていた。 職場の同僚達と毎年恒例の花見も今年はそんな気になれなくて断ったし、飲み会も行かなくなった。 なのに、今日は病院もバイトも休みで本当ならいつものように家で過ごすつもりでいた私は今、何故か品川駅のロータリーに居る。 新宿や渋谷に比べて人は少ないものの、今の私には居心地が悪くてしょうがない。 そもそも、軽い引きこもりになってる私が何故此所にいるかと言うと……。 そんな時、私の前に大型のスクーターが停まった。 「萌香さん、お待たせ」 ヘルメットを着けたままのマコトがそう言う。 そう。 待ち合わせの相手はマコト。   昨日の夜、マコトから電話があって遊びに行こうと誘われた。   解決策なんてまだなかったけど。 1人で色々考えるよりはマシだったと思い、気晴らしにマコトの誘いに応じた。   でも本当はそれだけじゃない。   昔から恋愛で悩んでる時は、女友達より男友達につい縋(すが)りたくなる。   私の悪い癖だった。 「そんなに待ってないけど、何で品川駅で待ち合わせなの?」 「いいじゃん!それよりコレ……」 マコトはエンジンを掛けたままバイクから降りて、タンデムシートからヘルメットを取り出すと私に被せてくれた。 ……? 全く持って状況が掴めない私を余所に、マコトはバイクに跨(また)がると後ろに乗るように促してきた。 「萌香さん、此所駐車出来ないから早く乗って」 「わ、分かった」 マコトに言われるがままに急いで後ろに乗った。 「萌香さん、しっかり掴まってて」 そう言うとマコトはスピードを上げると、ロータリーを後にした。 「ねぇ、何処行くの?」 「えっ!?聞こえない。何て?」 まぁ、そりゃそうだわ。 バイクで走ってるんだから普通の声で聞こえる訳がない。 今度は大声で同じ質問をしてみた。 「んー、着いてからのお楽しみ」 ちょうど信号が赤になりバイクが止まると、マコトはそう言った。 信号が変わり、マコトは再びバイクを走らせた。 どれだけバイクを走らせてたのか分からないけど、着いた場所に見覚えがあった。 「どうして此所に?」 バイクから降りて、マコトにヘルメットを渡しながら訊いた。 「萌香さん好きそうだと思って。ダメだった?」 バツが悪そうに頭を掻いてるマコトを見てフッと微笑んだ。
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