逃げ道

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マコトはそう言ってトイレの方に歩いて行く。 私は言われたように、中央の後ろに空いてる席を見つけてそこに座っててマコトを待った。 程なくしてマコトがトイレから戻って来て隣に座ると、周りに居た女性客の視線が私達に集中する。 私と言うよりマコトにって言った方が正しいかも。 まぁ、それはチケット売り場でも薄々分かっていたけど、マコトも彼ほどではないにしろかなりのイケメンくんだから注目を浴びるのも頷ける。 何を隠そう、お店にはマコト狙いのお姉さま系の客も実は多かったりするんだよね。 彼がワイルド系のイケメンなら、マコトは甘い感じのカッコ可愛いタイプのイケメンくんって感じ。 ちなみに、童顔の私はよくマコトとタメと間違われたりするんだけど……。 「ねぇ、あの人カッコ良くない?」 「隣の人、彼女かな?」   私の耳にも近くに居る女の子達の声が聞こえ、彼女達から見たら私達はカップルに見えるんだと、思わず苦笑いしてしまう。 カップルで来てる人でさえ、マコトに見惚れちゃってるし。 あの人達、この後喧嘩にならなきゃいいけど。 一方のマコトは自覚があるのかないのか、全然気にしてないみたいでプールに目をやっていた。 まぁ、マコトらしいっちゃマコトらしいんだけど。 「萌香さん、そろそろ始まるよ」 マコトの言葉と同時に飼育員さんが登場しショーが始まった。 飼育員さんと共に登場したのはセイウチと アシカ。 前回来た時にセイウチがいたかなんて覚えてないけど、色んな芸をするセイウチとアシカが可愛いすぎ。 次にシロイルカと飼育員さんのパフォーマンス、イルカのジャンプを見てほっこりした気分になる。 「マコ見て見て!セイウチがラッパ吹いてる」 ショーの合間にはジンベイに餌をやってて、ラッパ吹いてるセイウチの反対側ではアシカが芸をし、その後ろのプールではイルカ達の華麗なジャンプでどこを見て良いのか分からない位にショーを見入ってしまった。 約30分の ショーも終わり、席を立ってエレベーターに行こうとしたらマコトに呼び止められた。 「萌香さん、こっち」 そう言ったマコトの前に新人と思われる飼育員の女の子が立っていた。 その手には『集合場所11:35』と書かれたプラカードがある。 集合場所? またしても頭の中で?マークが並ぶ。 「2名ですね?これを首から提げてあちらでお待ち下さい」 飼育員の女の子がそう言った。
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