逃げ道

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深海の魚やクラゲだったりダイビングでよく見るクマノミがいて、やっぱり癒される。 一通り回って水族館を出て次に向かったのは、ドルフィンファンタジーと言う名の建物。 中に入るとアーチ型の水槽をイルカがこれまた気持ち良さそうに泳いでいた。 奥まで進むとそこにはマンボウが。 「マンボウでかっ!」 「うわ、でかっ!」 昔、池袋にある水族館で見た時よりも大きくて、思わず見たままの感想が口から出たらマコトとハモッてしまった。 ぶっ! ぶはっ! ハモッた事がツボだったのか、お互いに顔を合わせて吹き出してしまう。 そのままマンボウを眺めていたけど微動だにしないから、私もマコトも飽きて外に出た。 そのまま水族館のチケット売り場の右隣にある4~5つの丸ガラスを覗き込む。 やっぱり居た! それぞれのガラスの奥には、シロイルカやバンドウイルカが泳いでるのが見える。 カクレクマノミとかラッコやペンギンも可愛いけどやっぱりイルカが一番だわ! 今の私、端から見たらまるで子供かも。 「萌香さんって本当にイルカ好きなんだな?」 「うん、好き。てか、何で何で分かったの?」 「だって、ショーの間中ずっとイルカをガン見してたし。今だってガラスにへばりついてるじゃん。それじゃ誰だって分かるって!」 マコトが苦笑いしながらそう言う。 「あは、確かに。イルカ超好きなんだよね。前にダイビングのライセンス取ったって話したじゃん?」 「うん」 「多分これは言ってなかったと思うんだけど、実はダイビングのライセンス取ったのって、いつかイルカと一緒に泳ぎたかったからなんだよね」 「そうなんだ?」 そう言えば。 確かこの先にイルカに餌をあげられる所あったよね。 マコトの腕を引っ張って直ぐ近くの階段を登った。 ここでは一番イルカに近付けられて好きだったのに……。 そこには確かにイルカやアシカが泳いでるプールはあるけど、餌やりのシステムはなくなっていた。 「えーっ!?ここでイルカの餌やりやるの好きだったのに無くなっちゃったんだ」 八景島で一番好きな場所だっただけに、餌やり場が無くなってたのはショックが大きい。 「萌香さん、とりあえずアレ乗らない?」 そんな私に気を遣ってか、マコトがそう言って指差した。 それはタイヤっぽい乗り物で激流下りするアトラクションだった。 八景島で私が乗れる数少ないアトラクション。 何気にこれ好きなんだよね。
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