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「私の赤い糸は、呪縛なのか?」
千代子は、瞳をうるわせながらそう呟く。
そう呟いた千代子には、絶望のあまりに、二人の男子生徒すら見えていなかった。
それを、見兼ねたロックは、慰めにかかる。
「こんな先公の話なんか、信じるん……」
しかし、蟹頼み男子生徒は、ロックの言葉を手で制した。
そして、千代子の元へ行き、こう耳元で、囁いた。
「君は、確かにあの先生と赤い糸で、繋がっているかもしれない。」
その言葉に、千代子は、意外そうに、『えっ?』と反射的に聞き返す。
それに対して、蟹男は、優しく囁く。
「けれど俺は、赤い糸は、決して一つだけじゃないとも思っている。他の誰かとの間にも確かに存在するんだ。そして、その中から一つを選ぶのが、君の役目なんだ。 だから、先生との赤い糸は、決して呪縛なんかじゃない。限りなくある選択肢の中の一つなのさ。」
そう言った蟹男は、千代子の小指の周りを『これは、先生との糸だ。』と言ってチョキで切った真似をした。
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