それは君でした

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8side ゼミの帰り道、俺の街の待ち合わせで有名な公園の前を通ったとき、俺は君の笑い声を聞いたんだ。 狂ってるような笑い声。 最初は、酔っ払いかなーって思って、避けようと思ったけど ポツポツと雨が降ってきた事で、考えが変わったんだ。 酔っ払いだろうが、見にいかないとって。 鞄から折り畳み傘を出して、公園の中に入ったら、時計台の前で、君が狂うように笑いながら空を見上げてた。 不思議だけど、綺麗だなって思ったんだ。 大学で顔を合わせるだけの君。 たぶん、雨が降ってなかったら君との関わりはなかっただろうね。 声を掛けようとした瞬間、君は地面に倒れた。 俺は駆け寄り、君の意識を確認した。 意識はなかったけど、君はずっと知念と呼び続けていた。 知念って、あの人気の知念かな。 大学でモテる知念くん。 山田くんの彼女って噂は本当だったみたいだ。 俺はそんなことを考えながら山田くんを背負い、家へと戻った。
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