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高学年になると、
百合花(ゆりか)は、モテた。
幼なじみだからって、
綺麗かわからないほど、鈍感でもない。
俺もそれなりには、モテたのかもしれない。
いつも女子が話しかけてきていたから…。
バレンタインになれば、たくさん貰ったチョコ。
何個もらっても、《本命のチョコ》が欲しいのは百合花からだ。
だけど、あいつは…
『義理チョコだけど、あげる。』
顔を赤くすることなく、
俺が、傷つくことを言いながら、
手のひらサイズの袋を、俺に差し出す。
『……義理チョコでも、女の子からのは、貰う主義だからなぁ…俺は。優しいだろ?』
そんなの嘘だ。
どうでもいい奴からの義理チョコなんか、貰うだけ損。
だけど、百合花は特別。
こいつから貰えるなら、
義理チョコでも、何でも受け取る
どんだけ好きなんだよ!って、
自分でも思う。
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