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一応家を買う時は学校に近いところを選んだのだが、だからといって自転車で行っていけない道理はない。そっちの方が俺的にはもう少し寝とけて嬉しいし。
「駄目です」
有無も言わさぬ雰囲気で、姫花は即答する。
「なんで?」
「そ、それはたいしたことじゃありません」
おお、珍しく狼狽している。これはもしやの弱点発見かも。
「たいしたことじゃないんだったら教えてくれ」
「それはですね、その、私と兄さんが一緒に学校に行くのに意味があってですね、自転車だと、その色々ありまして、その――」
姫花はどうも要領を掴めない言葉を並べる。どうでもいいが『その』って多いな。
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