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「ふむふむそれで?」
俺は辛抱して意味を租借する。どれだけ難解だろうが、これでこっちにアドバンテージが戻ってくるなら安い買い物だった。
……ふむ、一緒に行くのに意味がある。自転車は色々ある。
――二人乗り禁止か!?
いや、意味が分からないな。あと少しヒントがいる。
「楠野さん」
後ろから声が飛んできた。くそっもう少しなのに、などと思い若干睨みつけながら振り返り、一瞬で俺は顔を強張らせた。
そうか、こいつが残っていた。立っていたのは身長百九十はあろうかと思われる巨体。朝、姫花に告白をする奴の中でも一番の古株である。それでも苗字は知らない。
「……なんでしょうか?」
姫花は少し睨み据えながら答えた。さっきより声に刺があるような気がする。
「これで最後だ。俺と付き合って――」
「嫌です」
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