完璧な妹

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  「うぃーす」  テンション低く遅刻ぎりぎりで教室に入る。ビッグマンを保健室に運んでたら、時間をくってしまった。少しどころのロスではない。  まあいいけど。ビッグマンの名前も分かったし。斎藤くんというらしい。わりと普通。  俺は教室を見渡そうとする。 「ことちゃんキック!」  顔面目掛けて靴の裏が迫ってきた。回避動作が間に合わない。すかさず俺は顔の前で腕をクロスする。  靴は頂度クロスした腕の真ん中に直撃し、俺はたたらを踏んだ。跳び蹴りを仕掛けてきた少女は、反動を利用して一回転して軽やかに着地する。  少女、羽鳥琴音はチッチッと舌を鳴らしながら人差し指を横に振った。 「昨日より反応が鈍いぞ光一くん」 「そうでもないぞ」  毎度毎度朝から蹴ってきやがって。俺がそう何度もやられると思うなよ。
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