完璧な妹

20/29
前へ
/29ページ
次へ
「まっ、今日は時間がないからこれぐらいにしといて。おっはよー光一くん。今日は珍しく遅かったねー」  スイッチを切り替えて、琴音はノーマルモードに移行した。右手を上げてほとばしるぐらい快活に――それこそ小学生のように純粋無垢に笑う。俺には到底真似できそうにない笑顔である。 「朝から色々あったんだよ」  俺はその頭を雑にくしゃっと撫でて席に進む。琴音は並んで歩きながら尋ねた。 「色々って……姫花ちゃんが熱出したとか?」 「それだったら俺はこんな時間には学校に来れねー」  異変に気付くまでに大分かかるだろう。十時ぐらいになってようやく起きてくる。遅刻確定は免れまい。  しかし、琴音は意味を取り違えた。 「さすがシスコン。一日中つきっきりで看病するんだね」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加