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「まっ、今日は時間がないからこれぐらいにしといて。おっはよー光一くん。今日は珍しく遅かったねー」
スイッチを切り替えて、琴音はノーマルモードに移行した。右手を上げてほとばしるぐらい快活に――それこそ小学生のように純粋無垢に笑う。俺には到底真似できそうにない笑顔である。
「朝から色々あったんだよ」
俺はその頭を雑にくしゃっと撫でて席に進む。琴音は並んで歩きながら尋ねた。
「色々って……姫花ちゃんが熱出したとか?」
「それだったら俺はこんな時間には学校に来れねー」
異変に気付くまでに大分かかるだろう。十時ぐらいになってようやく起きてくる。遅刻確定は免れまい。
しかし、琴音は意味を取り違えた。
「さすがシスコン。一日中つきっきりで看病するんだね」
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