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いつの間にか朝食を食べ終わった姫花は、キッチンで洗いものをしながら、何をいまさらといった声音で返事をした。
「……俺見せた覚えないぞ」
「当たり前です。勝手に見てましたから」
「おいおい、それは駄目だろ」
「家族ですから問題ありません」
「…………親しき仲にも礼儀ありって言葉知ってるか?」
「別に親しくはありませんから」
「俺はお前にとって何なんだ!?」
使い勝手のいい道具か!?
洗いものを終えた姫花は、熱いお茶の入った茶碗を片手に俺の向かいに座った。
そして、一口飲んでからあっけらかんと言った。
「嘘です」
「は?」
本当に嬉しそうに笑って、
「私は、兄さんが大好きです」
「…………」
ああ、まずい。顔が熱い。
だから、俺はこいつが苦手なんだ。
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