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窓の外には異質な光景が広がっていた。
砂利で固められたはずのグラウンドには草原が広がっており、その周囲には様々な装いをした人間で埋め尽くされている。
この学校の制服を着た人間が、まず半分。それはわかる。が、残りの半分はそれこそ人様々だ。
中世西部に居るような屈強な甲冑を身に纏う者、黒装束を身に包んだ忍者っぽい男、等々多岐に渡る。
そこはまるでコミケのコスプレ会場を彷彿させた。が、その中心で執り行われていたのは同人誌即売などと生易しいものではない。
グラウンドの中央では青い閃光が飛び交い、時折荒々しい突風が吹き荒ぶ。金属と金属とが激しくぶつかり合う音があちこちで反響し、辺りには火花がチラついた。
よくよく目を凝らせば、そこには二人の人間がそれぞれの武器をその手に、鍔迫り合っては距離を取り、またぶつかり合うのを繰り返しているのが見てとれる。
およそ人間とは思えぬスピードで繰り広げられるその行い。
それはまさしく『決闘』であった。
そこまで見た時、京太郎はようやく寝ぼけた頭で状況を把握した。
なるほど。大魔導師に、蒼の剣士。今日はこの二大勢力の因縁の対決の日だったのか。
「どっちが勝ってる?」
荻原が身近の生徒に尋ねる。
「僅かだが、蒼の剣士が押してる。けど、油断は出来ねぇ……何たって相手はあの、大魔導師だからな」
答えながら、生徒は手慣れた様子で右手を虚空に振り、あるウィンドウを京太郎達の前に表示させて見せる。
宙に浮く半透明のウィンドウ。そこにはまさしく現在、校庭で戦っている二人のステータスが表示されていた。
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