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大魔導師、セイヤ。レベル37のウォーザード。このゲームに置いては準最強クラスに匹敵する高レベルプレイヤーだ。
HPやATKなどの細かい数値からも、彼のそのパラメータの異常性を確認できる。
そして彼の残り体力を表す、細長い青のゲージは、既にわずか5割になっていた。
「しっかし相変わらず馬鹿げたステータスだぜ。一体どこまでやり込めば、こんな数値叩き出せるんだよ」
荻原が呆れつつ、感嘆の声を漏らす。それ程までに、彼のレベルは平均のそれから逸脱している。
しかし、“そんなもの”は所詮、システムの一部でしかない。そして京太郎はそれを、誰よりも理解していた。
「本当に重要なのはパラメータじゃねぇよ。見ろよ、あの蒼の剣士の動き」
京太郎が窓の外を指差す。
そこには加速と減速を絶妙なタイミングで織り交ぜ、トリッキーな動きで相手を翻弄する剣士の姿があった。
その人間離れした驚異の速さに、傍目には残像が無数に増殖して見える。
「うおおっ何だありゃ!?あいつ、スピードパラメータどんだけ上げてんだよっ?」
荻原が慌ててステータスウィンドウを確かめる。しかしそこには、
「……って、レベルたったの20!?大魔導師と倍近く違うじゃねえか!」
「だから言ったろ、そんなもんは所詮『まやかし』なんだっての」
そう。
このゲームに置いて、レベルやパラメータといったステータスは、システムのほんの一端にしか過ぎないのだ。
勿論、基本的にはレベルが高い方が強い。それはどのゲームに置いても基本中の基本、誰だって知ってる事実だ。
しかし、このゲームに置いては少しだけ例外が存在する。
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