プロローグ

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さて、少し話が脱線したが、要するにプレイヤーには一時的に速度を上昇させる、そのブースト機能が備わっている。 プレイヤーのHPを指し示す細長い青いバー。その真下にある、薄紅色のゲージ。 それを消費することにより、プレイヤーは超スピードを獲得し、人を超える動きを可能とするのだ。 消費する量に比例して動ける距離、速度等は変動し、これはプレイヤーのレベルによってもその出力に差異が出る。 そして何よりこのシステムの最大の魅力。それは、“使い方次第で高レベルをも圧倒”出来ることだ。 「大魔導師が動いたぞ!」 観衆の一人が声を上げる。 大魔導師は近接戦では不利と見たのか、ブーストゲージを一気に大量消費し、直線的な動きで大きく後ろに下がった。 (ああ、駄目だ。そんなにブーストを無駄遣いしたら__) そう京太郎が考えたのも束の間、大魔導師のブーストゲージが空になる。 大魔導師はガクン、と不自然にその動きを止め、膝から地面に崩れ落ちた。 オーバーヒート。ブーストゲージは通常、常に一定の速度で回復していくのだが、今の大魔導師のように空っぽになるまで使い切れば、ブーストを冷却するために一旦その動きを全て強制停止させてしまう。 __まあそれはあくまでゲーム内の設定の話で、実際にはブーストに冷却機能など存在しないのだが。
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