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「あんたが今弾いてたの?」「そうだけど・・・」この子は・・・そうだ隣のクラスの晴斗君だ。彼とは二年間クラスが違うため話したことがなかった。廊下で顔を合わせるくらいだ。「上手なんだね。」「夏休み毎日弾いてたからね。」「うん、聞いてたよ。」「えっ?」びっくりだった。毎日あのぎこちないメロディーを聞かれていたのかと思うと恥ずかしくなった。「毎日聞いてて一体誰が弾いてるんだろーって思ったから来てみたらあんたやったんやな。」「一体どこで聞いてたの?」「あ、僕剣道部なんだ。だから体育館のところまで聞こえてくるんだよ。」そうか、夏休みの間は音楽室はクーラーがないため窓を開けていたんだった。聞こえるのも無理ない・・・。「あ、そろそろいくね!バイバイ!」「あ、バイバイ。」彼はその場を走り去って行った。なんとも不思議な子だった・・・。「って!休み時間あと2分で終わっちゃう!!」..._________________________________
次の日もその次の日も彼はピアノを弾いていると音楽室に来てくれた。音楽室で彼と会うのが日課になり楽しみになった。彼はいつも楽しい話をしてくれた。でも「好き」という感情とは少し違っていた。その感情は不思議としか言い様がなかった...
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