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「やはり愚者の肉はまずい。志高き肉が食いたいなぁ」
眼の前の死体の頭にかぶりつき食い千切る。悪魔皇帝にとって最も生きている意味を感じる時間。その背後から声をかける者がある。
「ガーダ、モタの天国を特定した」
「ほう。攻められるか?」
口に含んだ頭をごくんと飲み下して悪魔皇帝は振り返る。
「当たり前だ。我らに逆らうモーダーの本拠地を襲う準備はできている。我らを悪魔と呼ぶ人類を魂残らぬほど滅するのがガーダと私の願いだ」
「ふふふ。俺をガーダと呼ぶのは今やお前だけだ。ドロイ、任せた。モタの天国を襲えばモタはそちらに駆けつける。天国で争いをしている時間は俺らの天下だ。同盟を滅ぼせる。モタ以外に相手になる者などおらんからな」
「任せろ。それと俺にも少し肉を食わせろ」
「勝手に食え。この大地は人の肉の宝庫だからな!」
悪魔皇帝は近くにあった死体をドロイに投げ飛ばす。それを受け取ったドロイも頭からかぶりつく。
「悪魔にとって人の肉が一番うまいからな」
モタの天国で一人の老人が白い顎髭を撫でた。
「やはり来るか。ティム、アル、アイゼン、リー、今戦える者は四人か。さて、どうやって迎え撃つか」
老人は座っていた岩から下りる。
「モタの力になるとするか」
遥か昔太公望と呼ばれた経験のある老人。シガは歩き出す。この天国に危険が迫ると確かな危機感を持って。
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