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陸に上がり、リザを囲んで将校たちは再び会議を開く。
「アランが僕たちが上陸することを前もって流布してたはずなのにどういうことなんだろう?」
リザの疑問にはすぐにギータが答える。
「僕らの相手をしている暇はないのだろうな」
「拙者たちは舐められているのか!?」
ナキューの怒号が空に響く。
「違げーよ。悪魔皇帝の軍に対処を追われてるんだろう。リザ、ここから陸路と海路に分けよう。悪魔皇帝がこの地に上陸するならば北か西だ。最南の大陸の軍にすぐ加勢出来るようにさ」
モタの言葉にリザは頭を傾げる。
「味方かどうかもまだ分からないのに?」
「だからだ。俺らに敵意はないことを示すんだ」
空は高く青い。
あまりの穏やかさに戦乱の中に身を置いていることを一時忘れるほどに。
結局、リザとモーダーの三人とアランが陸路を向かい、海路はムエルを大将としてナキュー、ムト、チーヌ、トトが行くこととなった。
「チーヌ、トト、気張れよ!」
モタはチーヌとトトにそう声を告げて内陸部へと消えていった。
以前ならモタがいないことに不安を覚えた二人だが、今は任されることが嬉しく思う。
「じゃあムエル、僕らも行こう!」
真っ直ぐにそう声を上げる海路の将校たちも笑顔を見せた。
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