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モタが死ぬ訳がない。
ギータは、いつもそう言う。
ナタにしても、いつも納得の言葉だ。
丘から見える夕陽が沈んいでいく。
夜が始まろうとしていた。
ナタの後ろのガウタマの木から野太い嗄れた声が聞こえる。
「ナタ、もう帰れや……。てめえがそわそわ心配してもモタは、まだだっての」
「うっせえよ……」
言葉を吐いたガウタマの木が溜め息を落とす。
「モタのバカもナタのバカもギータのバカくらい大人しく出来んのか。モタがナタに自惚れの底惚れだと思りゃぁ、てめえもそうかよ……」
「うっせぇよ!兄ちゃんの心配して何が悪いんだよ!」
「はいはい。モタ帰ってきたら、いいことでもしなよ。いつものようにな」
かちりときたナタが、ガウタマの木を思いっきり蹴り上げる。
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