灼熱の炎天使~ヴァルカネル~

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小鳥さえずる今日この頃――― 青く澄み渡るこの空は神様も俺を祝ってくれている気持ちがしてしまうほどだ。 新品の制服に身を包み、寝癖一つ無い髪型に少々緊張気味の顔。 そんな俺の目の前には高くそびえる門。 今日から通うことになる第一国立魔法学校――――通称一校 この門より先はきっと苦しくも楽しい学園生活が待っているのだろう。 そんな事を思わずにはいられなかった。 この学校に高等部として入学する俺――――天王寺櫂斗(てんのうじかいと)は門の前で素直にこう思ったのだ。 「初めて学校なんて見たけど、でかいなぁ」 ………今の言葉は嘘偽りない俺の本音だ。間違えない。 今の発言に疑問を持ったのは大いに正しい。高等部に入る俺が学校を初めて見た、というのは確かに変だと思う。 いくら年月がたったからといって、義務教育が廃れたわけではない。むしろ行かない方がおかしいのは当たり前だ。 つまり高校に入る俺がこんなことを言うのは明らかにおかしいのだが、それには海峡よりも深い理由があるので割愛させてほしい。 そんな俺は期待を胸に意気揚々と学校に足を踏み入れた。 これと言った変化は無いが、何処となく嬉しさがこみ上げてくるものだ。 今日はまだ授業に参加できないから学校を散策するのも良いのだが、生徒会長に会うという用事があるためフラフラとする事は出来ない。散策は午後にしようと決意。
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