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他にも何人かの生徒が黙々と勉強する図書室の中で、俺と同席している奴らの声が図書室に響き、「ああ、またあいつらか」という視線がいくつも刺さる。
その中には、「お前の仕事だろ。早くしろよ」と俺に向けられた視線も混じっている。
しょうがない。
俺自身はこいつらの馬鹿な会話にも慣れ、この状況でも自分の勉強を進めるくらいの集中力はあるのだが、周りが期待してくれるのならしょうがない。
俺にしかできないことがあるならば、俺はそれを全力でまっとうするのみ。
お前もうるさいよ。
とツッコミ返されるのを覚悟の上、俺は息を吸い込み左手で軽く机を叩いた。
「うるっせぇよお前ら!普通は課題やっても足りないくらい勉強しなきゃいけねんだよ!勉強しないのは勝手だが他の奴らの集中力まで奪ってんだよお前らのアホトークは!ちったぁ自重ってもんを覚えろ!つーか、何で俺ばっかこんな勉強してんのにいつも三位なんだよおおおお!」
恐らくこの図書室で最も迷惑な行為をしたのはこの俺自身であろうが、何故か周りの生徒達からはぱちぱちと控えめな拍手が浴びせられた。
そして何故か玲と翔さんも、うんうんと嬉しそうに頷きながら拍手をしていた。
「拍手じゃねぇだろ!そこは『お前の方がうるせぇよ』とか言うとこだろうが!」
という俺の全力のツッコミを皮切りに、図書室には再び静寂が訪れた。
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