プロローグ

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目の前には2つの人魂。 『人間を……恨んではいけない……』 一つが、悲しげな色を灯しながら言う。 『人間はお前の大切なモノを奪った…人間はお前の兄貴を奪った…人間を恨め…怨め…呪え…根絶やしにしてしまえ……お前にはさもたやすいだろう?』 一つが饒舌に、それでいて静かな怒りを込めながら呟く。 だから俺は言う。 「俺は…人になりたい。長く生きることに疲れた。感情のない日々に疲れた。……温もりのない毎日はもうイヤだ。だから…俺は人になる。」 そう言うと、悲しげな色を灯した人魂が少し揺れて、怒りを灯した人魂はまたつぶやいた。 『…お前は人にはなれん……………お前は……… …………バケモノ、だからな…』
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