プロローグ

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兄貴自身も、自分の食べる分で精一杯のはずなのに俺をまかなってくれた。 だから俺はそんな兄貴を、人間を、初めて好きになれた気がした。 けど、兄貴は人間に殺された。 買ってもいない恨みを押し付けられて、殺された。 だけど兄貴は、俺に言った。 "人間を恨んではいけない"…と。 だから俺は人間を恨まない。 そして俺は逆に、恨み恨む人間を作らないようにしたかったから…教師になった。 『主人。時間だぞ』 愛猫の"櫂(カイ)"が知らせてくれる。 「さぁ…新学期の始まりだ」 そう言って俺は玄関を出た。
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