始動~アマノハバキリ

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マリオンを部屋に押し込んだレオンはロビーフロアでくつろぐアルトに報告を済ませる。 「お、レオンか。サボりのお迎えお疲れさん」 「こんなのはいいんだけど始末書がなぁ……結局二時間以上オーバーしたし……もう散々だ……」 「ま、頑張れよ。ほら、差し入れ」 アルトが渡した物は自販機で購入したエナジードリンク……の空き缶に水を入れたもの。 「水かよ……」 「まぁ座れよ。始末書は俺がなんとかしてやる」 「助かるよ」 夜番の神機使い以外は就寝する時間。ロビーもひっそりとしていた。 アルトたち隊長クラスが二人、その部隊からさらに一人、そして基本的に夜番として活動することを目的にした第四部隊で夜番を行う。 今日は第一、第三が夜番だった。普通は隊のブリーフィングルームに待機していることを義務づけられているが、アルトがそんな命令に従うはずもなかった。 「頼みの新型……あっさり死んだな」 「どうかな」 直球的に物を言うレオンにアルトは言葉を濁して答える。 「現実を見ろアルト。アイツは死んだ。元より新型なんかいなかったって考えれば面倒なこともない」 「そんな簡単に命を扱うなよ」 「お前が甘いんだ。あの女だってその甘さが……」 「やめろ……それは言わない約束だ」 余裕な態度を見せて発言するアルトが珍しく顔をしかめる。 「すまん……俺も仲間が死んで悪い気持ちにならないわけじゃないし」 アルトは何も答えなかった。顔をしかめたままただただ一点を見つめていた。 「新型に関しては……諦めろ……腕輪が探知できないのが証拠だ」 レオンの言葉を聞き流すとアルトは我に返ったように立ち上がる。 「機械は万能じゃないさ。作った人間が人間だしな……っと!気晴らしに狩りにでも出掛けてくるか!狩りの後のビールは格別なんだ」 「死ぬなよ?」 「寝言は寝てから言えよな」 いつものアルトだ。あの話をするといつも脱け殻みたいになるが、少しずつ克服しているらしい。 レオンはアルトが出発してからゲートを閉めると、彼が置いたビールを冷蔵庫に入れ、部屋に戻って行った。
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