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司令部から坂井隊長が帰って来て俺達に今の戦況を話してくれた。 アメリカ軍は六群からなる機動部隊をこのマリアナに投入して来ており、これに対し第一航空打撃軍は戦爆連合の五百機の第一次攻撃隊を一番近い二群の敵機動部隊に差し向けた。 結果は八隻居た正規空母中、三隻を撃沈、二隻を撃破残りの空母にもかなりの損害を与えて今、この機動部隊は退避中らしいとの事であった。 それを聞いた俺達は一斉に歓声を挙げて喜んだ。 しかし隊長の次の言葉に一同は静まり返り固唾を飲んで聞き入った。 「しかし、その損害も大きなもんで護衛の戦闘機部隊は五割の未帰還機を、攻撃機部隊は敵の対空砲火にやられて、なんと八割の損害を出したらしいぞ!」 俺達はあっけにとられた。 八割の損耗は全滅を意味している。 あの銀河部隊の様子からある程度は予想していたが、そんな凄惨な戦場から生還できた数少ない部隊だったのであった。 帝国空軍の精鋭たる攻撃機部隊がたった一度の攻撃で壊滅してしまったのだ! 敵機動部隊、二群と引き替えに! 敵にはまだ四群の機動部隊が残っているというのに! 我々はうつ向いて今後の闘いに不安の色を隠せなかった。
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