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我々の窮地を救ったのは小沢機動部隊、第二次攻撃隊三百機の制空戦闘機隊の烈風であった。 帝国空軍もそうだったが海軍は昭和十七年の大改編以来、母艦搭乗員の大量養成を行い練度の向上を徹底的に行って来た。 結果、その技量において我々剣部隊に匹敵するほどにまで成長させていたのであった。 その熟練搭乗員達による手並は鮮やかで、敵艦戦編隊を翻弄し巧みに巴戦に持ち込み、次々と撃破して行くではないか! 我々はようやく一息つき二回目の補給をすべくサイパン島への帰路に着いた。 その帰路の途中、帝国軍の一番槍となり長駆敵艦隊への先制攻撃を行い、強力な対空砲火網をくぐり抜けて、帰投中の攻撃機部隊が遠くに見えて来た。 第一航空打撃軍の陸上爆撃機、銀河である。 何故かその編隊は乱れていてフラついていた。 近づくにつれ機体の様子がおかしい事に気が付いた。 まさに満身創痍であった! 風防は砕け、外板は引き裂かれ穴だらけになり、中には片肺の発動機だけでやっと飛んでいる機もある。 基地で攻撃隊の苦戦は聞いていたがこれほど酷いものとは思わなかった。 ようやく追い付き横に並ぶと搭乗員がこちらを見て、ニカッと笑いかけてきた。
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