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【藍川高校】
「明日から夏休みだがお前ら、あんまりハメを外しすぎんなよ。分かったな。」
教師はもはや定形文化されたようなフレーズを並べ、教室を後にした。
そしてこの瞬間、学生たちには長いボーナスタイムが与えられることになる。
「夏休みかぁ…」
そう、夏休みだ。
高二の夏休みってのは世間一般的には友達や家族と夏祭りやら海やらと楽しいも期間とされる……一般的には。
「早く二学期始まれ…」
「………ゑ!?今夏休み始まったばっかりだろ!!どんだけだよ、葵!!」
「いやさ…道場、どうせ母さんが逃がしてくんねぇよ」
「うわぁ出たよ鬼母、しかも葵の母ちゃんはアホみたいに強いんだろ?」
「うん、多分お前なら一秒と持たん」
「一秒で倒されるんか俺」
「いや、挽き肉」
「………」
一般的には夏休みは楽しいものだと思う。
でも俺の場合、その一般の枠からサヨナラしている。
石上道場
すなわち俺んちには鬼が二匹いる。
母と妹だ。
こいつらはもう人外だ、人外。
わけがわからん。
「グ…グッドラッグ葵……」
「………くそぅ、死にたくねぇよ…」
俺は級友に応援されながら教室を後にした。
あ、ちなみに
死にたくないというのは
本当そのまんまの意味だったりする。
リアル生命クライシスとでも言っておこう。
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