消失

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「よ…蓬。夏休み早々兄貴を殺す気か!?」 妹の蓬だ。 「大丈夫。葵が耐えられるように力加減したから!!」 いや、こっちは一瞬意識がトンだんだって。その馬鹿力も大概にしてほしい、これじゃ命がいくつあっても足りない。 「蓬も終業式だったのか?」 蓬と俺は双子だが、高校は違う。学力においてだけ天は俺に味方してくれたから。 「うん、明日から夏休み!!一日中道場にいれるじゃん、やったね!!」 …この脳筋が 「…お前さぁ、他に何かやりたい事とかないわけ?俺のクラスの女子とか楽しそうに予定立ててたぞ?」 「え、無いけど?」 …おい、マジか。17歳の女子校生が鍛錬以外興味ないって……。脳の代わりに木刀か何かが入っているとしか思えない。 「じゃあ逆に聞くけど、葵は何か他にしたい事とかあるの?」 「…え、俺?」 …言われてみれば、鍛錬に気は進まない、でも他にやりたいことは頭に浮かばない。 俺は何がしたいんだろう…。 「………。」 「なんだ。考えても出てこないじゃん。」 「いや、多分何かあると思う。…何か。」 結局、俺は答える事が出来なかった。
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