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そのマロが今、桜から離れていく。
理由があるにしても、きがきじゃない。
しかも、この方向は・・・。
このまま行くと、あそこにいってしまう。
父が行方不明になった公園に・・・・。
背中を普通の汗とは違うものが流れる。
「マ―――ロ―――ッ。」
(お願い、止まって。)
だが願いもむなしく、彼は公園の入り口に躊躇なく飛び込んだ。
「ぎゃぁ――――!」
走りながら、桜は両手で頭を抱えた。
(バカッ、マロのバカ―――!)
止まらなかったマロを、心の中で精一杯怒鳴った。
父がいなくなった公園は、所謂一つのトラウマだ。
夢に何度も出てくるくらい。
入り口の柵を越えると、きっと底のない穴が待ち受けている、そんな気さえする。
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