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案の定、公園の前で桜の足は止まる。
まだ、そんな距離を走ったわけでもないのに、全身に汗をかいている。
当り前だが、公園には地面があり木々もある。
特に、この裏が山になっているため緑は多い。
頭の中では分かっていても、薄い飴細工のように脆く崩れ去るイメージがついてまわり、払拭出来ない。
ふと顔を上げると、2、3メートル先にマロがお座りをしてこっちを見ていた。
桜は、震える足を折り曲げてしゃがみこむ。
「マロ・・・おいで・・・。」
声がかすれる。
手を伸ばせば鎖に届くのかもしれないが、そんな余裕は全くといっていいほどない。
自身が倒れないよう、柵につかまり呼ぶことしか出来ない。
ところが、呼ばれている当の本人は、素知らぬ顔だ。
来ないの?とでも言うように、首を傾けている。
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