始まりの合図

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(くそ――っ、目をキラキラさせやがって~~~っ。) あの顔は、絶対何かを期待している時の表情だ。 桜はあの顔と目に、めっぽう弱い。 なんというか・・・小さな子供が、お祭りの屋台の前で見つめる顔というか・・・鹿が鹿煎餅を持っている人を見つめる目というか・・・。 とにかく断れない、期待を裏切ることができなくなるのだ。 それをわかっていて、マロはやっている。 絶対、そうだ。 (つかまえたら、覚えてろっっっ。) 桜は、しゃがんだまま一歩足を前に出した。 (落ち・・・ない。) 当然だが、しっかりと足は地面についている。 息を大きく吐き、ほぼ四つ足の状態で前に進む。 (じっとしてなよ・・・) 後もう少しで鎖に届く・・・と思った矢先、マロは立ち上がり、奥の茂みへと移動した。 「が―――――っ、マロぉぉぉ。」 頭に血がのぼり、思わず、飛び付く。 そのまま茂みへと、身体ごと突っ込んだ。
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