10人が本棚に入れています
本棚に追加
(くそ――っ、目をキラキラさせやがって~~~っ。)
あの顔は、絶対何かを期待している時の表情だ。
桜はあの顔と目に、めっぽう弱い。
なんというか・・・小さな子供が、お祭りの屋台の前で見つめる顔というか・・・鹿が鹿煎餅を持っている人を見つめる目というか・・・。
とにかく断れない、期待を裏切ることができなくなるのだ。
それをわかっていて、マロはやっている。
絶対、そうだ。
(つかまえたら、覚えてろっっっ。)
桜は、しゃがんだまま一歩足を前に出した。
(落ち・・・ない。)
当然だが、しっかりと足は地面についている。
息を大きく吐き、ほぼ四つ足の状態で前に進む。
(じっとしてなよ・・・)
後もう少しで鎖に届く・・・と思った矢先、マロは立ち上がり、奥の茂みへと移動した。
「が―――――っ、マロぉぉぉ。」
頭に血がのぼり、思わず、飛び付く。
そのまま茂みへと、身体ごと突っ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!