危機との遭遇

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ぶら下がる手が痺れてくるが、今落ちるわけにはいかない。 何とか身体を持ち上げようとしたその時、ジャージの隙間から光がもれているのに気が付いた。 (御守りが・・・) 暖かいのに、氷が肌に触れているように痺れてくる不思議な感覚。 ズササッッ! 引き摺るような音がして下を向くと、明らかに熊狼が後退りをしている。 どうやら自分よりもずっと身体が小さい相手に、気押されているようだ。 熊狼の視線の先を追った桜は、息をのんだ。 奴と対峙している黒いものの額の中心が、スッと横に裂けたように見えたのだ。 そして、その傷がそのまま上下にゆっくりと開く。 そこに現れたのは、深い青。 青い、青い瞳。 敵なのか味方なのかもわからないものの姿に、魅入られたように目が離せない。 それが、突然桜をとらえる。 「あっっ・・・!」 マズイと思った時はもう既に遅く、腕をのばしたまま桜の身体は熊狼の目の前に落下しはじめた。
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