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『あんれぇ?何で一人生き残ってんの?』
窓際の机の上に一人、少年が立っていた。俺と同じくらい、それかもう少し下か、位の容姿だ。
少年は血まみれの机をジャンプしながらこっちへやって来る。
『や!僕は、四宮波那斗。見ての通り…神人だよ!』
その少年、四宮はニコリ、と微笑みそう言った。
『可哀想な女の子だね…。君の彼女?名前は?』
これだけの数の死体を目にしてもここまで平常を保てている所から見て、相当な数の人間を殺ってきている。
『わ…解らない…』
『えぇぇぇ~彼女なのにぃ!?』
四宮は俺のと彼女の塊を交互に見ながら楽しそうに話す。
『彼女じゃない。』
そう言うと四宮は
『なぁんだ、つまんない。どおりで他の奴等みたいに発狂したり、泣きじゃくったりしないわけだ。大切な物とか、人を失ったときの奴の狂いっぷりったら、面白くってぇ~!!』
四宮の笑い声は気持ち悪いくらい教室内に反響した。四方から四宮の笑い声が聞こえるようだった。
『んま、何でお前生きてんの?全員始末した筈なのになぁ~。オーイ、天照!!何で生きてる奴がいんの?』
天照、イザナギとイザナミとの間に産まれた神だ。
『ん…抹殺命令が出ていないのか…。親父が命令したんだから、そんくらいしっかりしてくれよ!!』
窓の外で円盤形の物体が待機している。
あれが…天照…。恐らく本体では無いだろうが…。
『ちっ、命令が出ていないなら仕方ない…。でも、経験値を上げるには、やっぱ、経験っしょ?』
カチャ、と四宮が俺の眉間に銃口を当てる。
『ごっめん!僕さぁ、ちょっと良いとこの御曹司なんだよね?だから早くこの天照を本体級の神様にしたいんだよ。良いよね?』
鼓動が急に速くなる。汗が一気に吹き出る。
『神人に成り上がれなかったお前らが悪いんじゃん。』
四宮の人差し指がゆっくりと動き出す。
そんなとき、俺は教科書の物語の最後の一文を思い出した。とても有名な終わり方だった。
俺は真っ直ぐに四宮を見つめ言った。
『神々の理こそが真実と為す』
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