第一章~Sweet Summer~

115/125
前へ
/270ページ
次へ
結局、富士がクジを無くしたからという事にして、午後からもこのままのペアで回る事になった。 撫子が不満の声を上げそうになったが、本条に声を掛けられて大人しく引き下がる。 このまま本条が撫子を連れて行ってくれたら少しは真里ちゃんとの仲も上手くいくかもしれないのに。 暁がそんなことを夢想していると本条と目が合い、一瞬、仕方ないなと言いたげな表情を浮かべると、 「だいたい、大和さんはレディとしての自覚にかけているのだよ。そんなんだから富士にも相手にされない。」 と、撫子を批判するような事を言う。 言われた撫子はガーンという擬音はこういう時に使うのだなといった表情を浮かべて落ち込んでいる。 「ど、どうすりゃいいんスかね?」 そう問う撫子に、 「仕方ない、僕に付いてきたまえ。」 と、撫子を自分の組に入れて、 「悪いが沢城、大和さんは午後は僕達と一緒に行動することになった。」 と、口では言いながらその目はハッキリと「一つ貸しだぞ」と告げていた。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加