第一章~Sweet Summer~

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「どうした?元々貧相な顔が余計に貧相になっているぞ?」 約束の時間になって門の前で待っていると南部が暗い雰囲気を撒き散らしている暁に話かけてきた。 「南部先輩や豪さんはいいですよね。普通に歩いてるだけで女の子が付いてきたりするんですから。」 質問には答えていないが充分に説明になっているどんよりとした言葉に、 「南部、何故我まで絡まれるのだ?」 と、後からきた轟豪が困ったように南部に言うと、 「持つ者と持たざる者の差だ、諦めろ。」 と、南部にアッサリ返され、 「我に足りない物か?分からんな。」 と、首を傾げる。 「いや、どう考えても逆でしょ?」 富士が轟豪の天然にツッコミを入れるが、 「なれば、我の持っている物か。」 と、顎に手をあて、 「人望か。」 と、ボソリと呟く。 確かに轟豪に有って沢城暁に無い物だが、この場合は違う上に暁の落ち込みを後押しするだけの結果になってしまった。
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