第二章~苦い夏~

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本条と共に卯月さんに送られ、暁がアジトのドアを開けた瞬間、腹に衝撃が走り、続いて顎を突き上げられ、最後に側頭部に強烈な打撃を放たれて吹っ飛んだ。 暁に認識出来たのは、目の前でヒラヒラと翻る布だけだった。 廊下に弾き出された暁が頭を振りながら体を起こすと、目の前に知らない女が立っていた。 顔の造作は間違いなく美人に分類されるのだが、ヤンキーっぽい雰囲気が滲み出ていて暁の好みからは外れている。 そこまで考えところで目の前の相手が自分を弾き飛ばした相手だと思いあたる。 「いきなり何するんだよ!」 と、暁が怒声を発すると、 「なんであんなもんもよけられないんだ!」 と、怒鳴り返された。 女の理不尽な反応に暁が言い返そうとすると、 「昔のアンタはもっとマシな男だっただろ?クソッ嫁がされるコッチの身になれってんだ!」 と、聞き流す事の出来ない事を言う。
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