第二章~苦い夏~

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「嫁がされる?」 聞き慣れない言葉に暁がオウム返しすると、 「お前の許嫁だそうだ。良かったな、こんな美人の許嫁がいて。」 暁の疑問に答えるように、アジトの中から一部始終を見ていたであろう富士がニヤニヤしながら玄関から出てきた。 確かに美人だが、こんなのと結婚したら身が保ちそうにない。 家に帰る度にボコボコにされるような嫁を貰うくらいなら一生独身の方がマシだ。 昨日の今日で一生独身の自分をリアルに想像してしまい軽く涙が出そうになった。 「やあ、富士。もう来てたのか。」 目の前のドタバタをスルーして本条が富士に話しかけると、 「いや、俺は撫子撒いてから奈月と二人で此処に泊まってたんだ。」 と、富士が羨ましい事を語り、 「朝来たら仮眠部屋で裸で寝てたのよ。」 そこに暁達を呼び出した如月もアジトから出てきて会話に加わる。
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