第一章

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人の気配が一切なかった 周囲の重殻達もどうやら同じ違和感を抱いたようだ。 止まれと命令しようとしたとき。自分達の視界が揺れた。周りの建物、そして自分達の真下が爆発した。 城下町に残る数少ない兵の隊長は顔に笑みを作る。敵は恐らく硬い鎧の防御力に物を言わせ大通りを直進して来るだろうと予想した。だからそれを利用させてもらった確かに鎧は大抵の攻撃ではきかない。だが強い衝撃を与えれば空気で浮き進む敵のバランスは崩せる。 そして今まさに予想道理敵はバランスを崩し横転していく。 そして爆発に巻き込まれなかった後続の敵もバランスを崩した手前の敵に当たり横転していく。 しかし、さらに後方の敵は新たな動きに移っていた。一部は進むのを大通りから近くの多少狭い通りに変え一部は倒れた味方を踏み台に進んできた。大通りから外れた通りは重殻が通れる程の広さは無く。軽殻でもぎりぎりの狭さだった。 そこを直進していく軽殻に三河の兵達は一気に襲い掛かった。 兵達は建物の上から槍を、通りを真っすぐ進む軽殻達の関節部分の装甲の薄い部分へ突き刺して行く。軽殻達も反撃を仕掛けるがそれよりも早く槍が突き刺さされていく。 次々と倒される敵をみながら大通りの方を気にする。 (本当にあのお方一人だけで大丈夫だろうか………) 爆発の少なくなった大通りを直進する重殻、軽殻は自分達の進む通りの先に一つの姿を視認した。 「一人だけだと……?」 「囮か?」
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