序章

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急だったために多少驚かれはしたが少年を見るなり医者はすぐさま治療に取り掛かってくれた。 治療は次の日の朝方まで続いた。 忠勝は一睡もせず治療が終わるまで待った。 治療室から医者が戸をゆっくり開けて出てきた。 「どうだ、あの子は…助かったのか」 少々大きな声で叫んでしまい、医者の方も驚いたようだが、直ぐさま隈のできた疲れた顔で笑顔を作り言った 「はい、あの子は助かりましたよ。まったく凄い子です」 医者は間をおき話を続ける 「あれだけの火傷と傷で助かるなんて、治療したこちらが逆に驚きましたよ」 それを聞くと忠勝はふっ、と近くの椅子に倒れるように座った。 「大丈夫ですか」 医者は心配をして声をかける。 「ああ、大丈夫だ。少し気がぬけただけだ気にするでない」 心配そうにこちらを見る医者に忠勝は大丈夫だ、と笑顔を作る。
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