ep.2 宮古 恋

3/14
前へ
/35ページ
次へ
 「んー、何か用がある訳じゃないけど。」  ミヤは少し考えてから、少年に提案した。  「ね、あんた羽見えるんでしょ。 ちょっと手伝ってよ。」  「羽探し、ですか。」  少年の問いに、そ。と笑顔で答えると、ミヤは自己紹介を始めた。  「あたし、宮古 恋。 高校二年生ね。」  少年も自分の名前を名乗る。 自分の年も明かすと、ミヤ、もとい恋は「変な名前。 それに、年下なんだ。」と笑った。  露骨に不機嫌な顔をした少年に、恋は謝罪の言葉をかけ、笑いながら説明を始める。  「この前と同じ奴見付けてよ。 あたし今五枚持ってるから、あと二枚くらいは欲しいかな。」  少年は頷くと、自転車を引いて恋に同行した。 恋は説明を続ける。  「羽はね、白いものに紛れ込んでる事が多いから、よーく見といて。」  しばらく二人で歩いていると、雑談のつもりでもあるのだろう。 恋が少年に聞いた。  「……なんて呼べばいい?」  少年は首を捻りながら考えて、好きなように。と答えた。  「うーん、じゃあ、原君。 ……じゃあ他人行儀か。 テン君?」  まだしっくり来ないのか、唸りつつ進み、恋は結局、「テンコ。 テンコでいい?」と少年の名を呼び捨てにする事に決めたようだった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加