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「んー、何か用がある訳じゃないけど。」
ミヤは少し考えてから、少年に提案した。
「ね、あんた羽見えるんでしょ。 ちょっと手伝ってよ。」
「羽探し、ですか。」
少年の問いに、そ。と笑顔で答えると、ミヤは自己紹介を始めた。
「あたし、宮古 恋。 高校二年生ね。」
少年も自分の名前を名乗る。 自分の年も明かすと、ミヤ、もとい恋は「変な名前。 それに、年下なんだ。」と笑った。
露骨に不機嫌な顔をした少年に、恋は謝罪の言葉をかけ、笑いながら説明を始める。
「この前と同じ奴見付けてよ。 あたし今五枚持ってるから、あと二枚くらいは欲しいかな。」
少年は頷くと、自転車を引いて恋に同行した。 恋は説明を続ける。
「羽はね、白いものに紛れ込んでる事が多いから、よーく見といて。」
しばらく二人で歩いていると、雑談のつもりでもあるのだろう。 恋が少年に聞いた。
「……なんて呼べばいい?」
少年は首を捻りながら考えて、好きなように。と答えた。
「うーん、じゃあ、原君。 ……じゃあ他人行儀か。 テン君?」
まだしっくり来ないのか、唸りつつ進み、恋は結局、「テンコ。 テンコでいい?」と少年の名を呼び捨てにする事に決めたようだった。
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