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「…でね、羽は意外とそこらへんに上限なく散らばってる。 一人一枚必ず持てる位にね。 でも、奇跡の力欲しさに、争奪戦が巻き起こってるってワケ。」
今のところ一番羽を持ってるのはシノじゃない?と恋は少年に言った。 少年は恋に詰め寄る。
「シノ……。 緋那ちゃんも、羽を狙って闘ったりするんですか?」
恋は考えてから、「シノが自分から闘うってのは見た事ないなぁ」と呟いた。
「タケがクソリーマンに羽全部奪われた時、間一髪だったけど自分の羽の一枚を分けてたぐらいだしね。 闘いたくは無いんじゃない?」
「タケ……、リーマン……。 争奪戦してるのって何人いるんです。」
「五人。 あたしとシノとタケとクソリーマンとクルリ。 それで五人。 リーマンと幼稚園児が近寄って来たら気を付けてね。 頭イってるから。」
恋は指折り示しつつ少年にそう答えた。 少年は唸りながら自分の頭を掻いた。 五人の元死者達が奇跡の力を求めて羽の奪い合いをしている?
にわかには信じがたい事だ。 話す相手が自分でなければ、恋はきっと病院に連れて行かれているだろう。
少年が溜息混じりに何気なく空を見上げると、見覚えのある形が彼の目に飛び込んで来た。
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