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少年の口から息が漏れる。 首筋に感じる確かな冷たい感触はいつでもこの首を跳ね飛ばす事が出来ると言う現れだった。
「君は……?」
少年の問いに少女は笑みを浮かべる。 少女は顔を近付けると、少年に言い放った。
「関係ないでしょ。 早く頂戴よ。 くれないなら。」
トッ、と言う音と共に少女が離れる。 少年が首筋につけられていた切っ先が離れたと思った瞬間、振り上げられた鎌が確実に首を跳ねられる軌道で振り下ろされた。
「死ね。」
――ああ。 そう覚悟を決めた少年は目を瞑った。 ガキンッ!と金物同士の衝突音が響き渡る。
ゆっくりと目を開けると、少年の前に見覚えのあるコートが立っていた。 見上げるとセミロングの黒髪が風に靡いている。
「……何やってるの。 この人、生者じゃない。」
コートの少女が呻くように呟く。 その手にはやはり大鎌の柄があり、セーラー服の少女の鎌の進行を抑えていた。
「そんな筈ない! だってその羽が見えてるもん!!」
コートの少女はチラリと少年の手の下にある羽を見た。 確かに見えているとしか言いようのないほどしっかりと羽の上に手が置かれている。
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