ep.1 出会い

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 「貴女が追いやって偶然、羽の上に手があるだけじゃないの?」  コートの少女が鎌を持つ手に力を込める。 相対する少女もまた、手に力を込めて更に一歩踏み込んだ。  「違う! それは羽を持った!! だからあたしは攻撃してるんじゃん!!」  コートの少女は眉を顰めた。 少年を見やると、彼女は向き直りながら少年に問う。  「貴方、手の中以外にその羽を持ってる?」  少年は首を横に振った。 少女はそれを見て言う。  「ほら見なさい。 私達と同じならもう一枚ないとおかしい。 この人は生きてる。 下がりなさい、ミヤ!」  ミヤと呼ばれたセーラー服の少女は、もう一歩下がって鎌の柄を地面に突き刺した。 コートの少女もまた、同じようにする。 ミヤは鎌の柄に腕を絡ませ、寄りかかるといじけた口調で少女に言った。  「じゃあなんでそいつ羽が見えるの。」  少女が言葉に詰まる。 知らない。とだけ呟くと、少女は少年に言った。  「貴方。 その羽を彼女に。」  「でも。 君だって集めているんだろ。」  少年は少女に反論する。 彼は彼女の為にこの羽を持っているのだ。 そうでなければ最初ミヤに鎌を突き付けられた時に渡している。 少女は面食らった顔をしていたが、すぐに答えた。  「昨日、やっぱり見てたの。 大丈夫、私は別のを探すから。」
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