一点目

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 「別に遊びでやるぶんには構わない、でも学校の部活っていうのは一回入部すると取り返しがつかないんだ」  必死になると身振り手振りを交え出すのは草馬のクセだ。  「つまらない、出来ないから辞めます、ではすまされないんだ鉄兵」  本当のところ、幼馴染みの三人に野球部に入部されてしまうと一人だけ蚊帳の外になってしまうので、それを避けたいという気持ちもあった。 そして、鉄兵たちに大事なことを軽い気持ちで決めて後悔してほしくないという気持ちがあった。  確かな信頼関係で繋がっていても、一緒にいる時間が減ると氷が溶けるようにそれが無くなる。  鉄兵は黙って草馬の話を聴いていたが、やがて口を開いた。
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