一点目

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 「わかってるんだ草馬。俺にだってそれくらいは」  「だったら、何で野球部に入ろうなんて思ったんだ?」  草馬の比較的明晰な頭脳は混乱し、頭の中は疑問符だらけだった。  「それは……おいおい話す」  (ここへ来てお茶を濁すのか)  軽く頬でも張ってやろうかと思ったが、拗ねられる可能性を考えてやめた。  「だから、さ。とりあえずやってみようぜ。まだ本入部を決めるには日数があるし、仮入部でダメだと思ったら考え直すから」  そう言って、鉄兵は草馬の腕を引っ張った。  「ちょ、鉄兵!」  「授業に遅れるから、続きは後でな」
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