一点目

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 田舎らしい広いグラウンドは、ほぼ野球部が独占している。  バックネットも、ピッチングマシーンも、四つのベースも、すべておろしたての新品だ。  唯一草馬が座ったベンチとそれを囲う屋根などは以前からあったものらしく、少しガタが来ているように見える。  しばらく辺りを見回した後、草馬はグラウンドに視線を戻した。  八人のうち何人かはグラブを持参していた。どうやら経験者のようだ。  「鏡坂君、自己紹介だけでも参加して頂戴」  「あ、はい」  九人と鶴岡先生が円を作った。中でも異彩を放っていたのが草馬の右隣に立っている大男だった。  
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