一点目

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 「……まあ奇異な子だけど、良い子なのは担任の私が保証するわ」  「んん、ほめられてるのかな……それ」  「当たり前じゃない、オードリーヘップバーンさん」  鶴岡先生はそう言って手を差し出した。  「朝葉さん、お願いね」  「はい、朝葉幹です、二十日中学出身で、中学では剣道をやってました」  女子ながら自分より背が高い幹を前野がうらめしそうな眼で見ている。  幹は剣道の世界ではそこそこ名の知れた人間だったが、なぜ鉄兵に唆されたくらいで野球に鞍替えしてしまったのだろうか。  もしかしたら、千雛以上におかしな感覚の持ち主かと草馬は心の中でそっと思った。
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