一点目

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 「……なるほど」  にわかには信じられない話だが、これが現実ならこんなに美味しい話はない。  「入学試験も、名前を書くだけで良いって言ってたわよ。アンタ、恵まれてるわね」  流石にそこまでは甘えられないが、確かに、と思った。  「受けてみるかな、その高校」  起きたばかりなので夢じゃないかとも疑って頬をつねってみたが、確かに現実だった。  「鉄兵君とか、ミキちゃんとか千雛ちゃんも一緒に入学してくださいって言ってたわよ。アンタって凄い強運の持ち主ねぇ」  草馬は腕を組んで悩む素振りをしていたが、悩む要素など一つも無かった。授業料免除、大学にも行ける。
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