一点目

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 「草馬、景気はどうだ?」  鉄兵が草馬の肩に手を置いて尋ねた。  「…………ぼちぼち」  鉄兵は草馬の親友でありながら、草馬と対照的な面を持っている。  草馬に比べると成績は遠く及ばないが、どこか人に好かれる雰囲気があることだ。  そのため、草馬よりも社交的で女性に好かれる見た目も持っているため、早くもクラスの人気者になっていた。  「……なあ、草馬。野球部に入らないか?」  しばらく押し黙った後、唐突に鉄兵がそう切り出した。  「へっ?」  突拍子の無いことを言う鉄兵に、草馬は思わず柄にもない間抜けな声を出した。
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