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「おぉい!そこのカップル!!イチャイチャしてねーでささっと体育館入れよー!!」
「!?」
「?」
遠くの方から男の人の声が聞こえた。
多分先生だろう。
カップル?
私は周りを見渡した。
カップルらしき人はいないようだけど……。あの先生声大きいなぁあんな遠くから。
「おい、宮家……」
あれ?そういえば清水くんは何で私の名前知ってるんだろ?
「あ、あのし、清水くん……その」
「行くぞ!」
あ、へ?
私は清水くんに手を引かれ走った。
「おぉおぉ暑いねぇ入学式早々!はははは!!」
ん?
あれ?
さっきのカップルって……。
「ちょ、ちょっと待って清水くん!!」
「えっ……」
私は清水くんの手を振りほどいてさっきの先生の下へ走った。
「お?どうした?」
「あ、あの……私達カップルじゃないです……その、清水くんに迷惑がかかるのでやめてください!」
私はハッキリと言った。
初めてこんなハッキリと言えたような気がする。
どうしてか、勇気が底から沸いてくるのだ。
「あ、あぁ……すまん」
私はそのまま振り返り体育館へと向かった。
途中清水くんがポカーンとしていた。私はその顔を見て先生から隠れるように清水くんの背中に回った。
「お、おい……」
「ご、ごめんね……私のせいで勘違いさせて……その……」
「あ、あぁ……」
「はぁー……緊張したなぁ」
「くっ……ははははははははははは!!」
私はビックリして清水くんの後頭部を見た。
「お前、変な奴だな」
清水くんは笑いながら後ろ向きで歩きだした。
多分先生から隠しながら歩いてくれるのだろう。
「……ここに階段が、もう少し前です……」
私は指示をだしながら歩いた。そしてなんとか体育館に着くことができた。
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