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「はぁー……」
私はため息混じりに席についた。
なんだか、もう既に疲れたような気がする。
「よし、んじゃ始めるか、俺の名前は北側(きたがわ)だよろしく」
私は担任の先生の顔を見た。
あ……。
あの先生だった。
「よし、んじゃあ自己紹介を……清水からやれ!」
「あぁ!?」
あ、清水くんだ……一緒のクラス……。
知ってる人が近くにいるのがこんなに嬉しいなんて初めて知った。
「おい、清水!先生に向かってあぁ?はないだろ!んじゃよろしく」
「チッ……」
あぁ、清水くん背高いなぁ……。
ガシャン!!
なんの音かと皆が音の方を向いた。そこには清水くんと清水くんの蹴飛ばした机があった。
「清水 宗太だムカつく奴はぶっ飛ばすよろしく」
どうしたんだろ清水くん……。あんなに机蹴って……痛くないのかな?
「んじゃ、俺帰ります」
「あ、ちょ!待て清水宗太!!……」
あ、え?
帰っちゃった……なんで?具合でも悪かったのかな?でもさっきまであんなに元気に……。
「はい、んじゃあ出席番号順に自己紹介していけー」
私はふと我に返り周りに耳をかたむけた。
(おい、あいつ)
(あぁ、中学の時高校生の不良5人を病院送りにした奴だろ?)
(何あの態度)
(恐いよねーあんなのいない方がいいのに)
(あぁ最悪だなあんな奴と一緒のクラスかよ)
(ありえねーは……どうせ学校辞めるんだから最初っから来んなよな)
なんでだろ……みんなの言葉が全部信用できない嘘のように聞こえる。
私は知っている、清水くんがとても……とても優しい人なんだって。
私は……知ってる。
次が私の自己紹介になり、私は立ち上がった。
「私の名前は」
「地縛霊だろ?」
そう誰かが言った。
私は何もできず何も言えずその席に座った。
「は?なんだよ地縛霊ってまぢでその名前なの?」
「は、まぢだから!」
「はははは!!親が受け狙いでつけてんじゃんそれ!!」
……。
変わらなかったなぁ………。何にも……。
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